よくある症状

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)について

メタボリックシンドロームとは、過食や運動不足により、肥満特に内臓脂肪の病的蓄積によって引き起こされる様々な合併症を含んだ病態の総称です。これは内臓脂肪より分泌される数種類のホルモンにより、インスリン抵抗性の増大や動脈硬化が引き起こされることによります。合併症としてはII型糖尿病、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症、高血圧などがあげられます。

さらに、メタボリックシンドロームによる動脈硬化の進行は、脳血管障害(脳梗塞や脳内出血など)や心筋梗塞などの血管閉塞性疾患を誘発します。メタボリックシンドロームの診断基準の全ての項目を満たす患者はメタボリックシンドロームではない健康成人に比して、脳血管障害や心血管病の発症率は30倍以上になると言われています。

厚生労働省の発表による死亡統計では、脳血管障害や心血管病が全死亡率の30%を占め、癌と匹敵するものであり、有病率としては、死亡率の10倍は在るといわれています。しかも、働き盛りに突然発症することが多く、社会的にも、極めて損失が大きい上に、死亡から免れたとして、多数が後遺症で苦しむケースが多いことから、癌よりも深刻であるともいえます。

平成17年にはわが国独自のメタボリックシンドロームの診断基準が発表され、厚生労働省もこの病気を予防するための健診と早期発見、予防のための食事療法と運動療法を積極的に啓蒙しており、これらの適切な予防や医学的治療により、将来的には医療費を7兆円削減でき得ると試算しています。メタボリックシンドロームのわが国の診断基準は次のとうりです。 当院ではこの病気の早期発見、予防、治療に積極的に取り組みたいと考えております。お気軽にご相談ください。

日本版メタボリックシンドロームの診断基準

必須項目 ウエスト周囲径 男性85 cm以上
女性90 cm以上
(内臓脂肪面積 男女とも≧100 cm2に相当)

 

上記に加え以下のうち2項目以上
・空腹時血糖110mg/dL以上
・トリグリセライド150 mg/dL以上  かつ/又は HDLコレステロール40 mg/dL未満
・収縮期血圧130mmHg以上  かつ/又は拡張期85 mmHg以上

 

メタボリックシンドローム診断基準検討委員会:日本内科学会雑誌,94,794-809,2005

  • CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことがのぞましい。
  • ウエスト径は、立位、軽呼気時、臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。
  • メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験が薦められるが 診断には必須ではない。
  • 高TG血症、低HDL-C血症、高血圧、糖尿病に対する薬剤治療をうけている場合は、それぞれの項目に含める

メタボリックシンドロームと各疾患の関係

企業従事者12万人を対象にした調査では、3年間で冠動脈疾患を発症した94例について企業での
検診結果が10年前まで遡り調べられた。発症群は性別、年齢、部署をあわせた非発症群に比べ、
BMI、血圧、空腹時血糖値、血清コレステロール値、血清トリグリセライド値、血清尿酸値のいずれもが、
正常よりやや高値の範囲であるが有意に高く、10年間持続していることが確認された。BMI26.4以上の肥満、
140/90以上の高血圧、220mg/dL以上の高コレステロール血症、110mg/dL以上の高血糖の4項目のうち
3つ以上を有すると、これらのリスクの4つとも有しないものに比べ、重回帰分析により31.34の高い
オッズ比を示した。高コレステロール血症を高トリグリセライド血症におきかえると、2因子保有者5.76
比し、3因子以上では35.8とオッズ比が著しく増加した。この解析はメタボリックシンドロームの
診断基準とは異なるが、わが国における複合リスクの重要性を示している。

厚生労働省作業関連疾患総合対策研究班